夢
夢はその時々の人格の成長のインデックスだという意味の言葉があった。この言葉はその後長くわたくしの心にこびりついていたが、夢を見たあとで、自分の人格の成長を知って喜ぶなどということは一度もなかった。何か食い過ぎた夜の夢などはろくなことはなかった。ヒルティの言葉が本当なら、わたくしは人格的に一向成長しなかったことになる。
倫理学者の和辻哲郎による「夢」の一節です。
和辻さんによると、夢が「人格の成長のインディックス」だと言っていたのは、哲学者のカール・ヒルティで書籍『眠られぬ夜のために』の中に書かれていたのだとか。
まあ、夢なんていうのは、とかくへんてこりんなものばかりですから、和辻さんがこう言うのもわからないではないです。
ちなみに私は、現実世界から少しずれた夢と現の狭間にいるかのような「幻想小説」が大好きで、今は小田雅久仁さんの 「残月記」を読んでいます。
癖のある作品なので賛否両論みたいですが、私的にはすっごく面白いです(今のところ)。