豪華版
昔、北原白秋が羊皮にサファイアやルビーをちりばめた豪華版の詩集を出す広告をしたことがあった。実現したかしなかったのか知らない。白秋のロマンティシズムに、九州柳川の日が照って、桐の花がちりかかっていたように、その頃の、きれいな本をつくりたい心、そういうきれいな本をもってみたい心は、日本の出版企業の、かつて初々しかった昔の物語である。そして、それはまだ文化の問題に入っていたのである。
昔、北原白秋が羊皮にサファイアやルビーをちりばめた豪華版の詩集を出す広告をしたことがあった。実現したかしなかったのか知らない。白秋のロマンティシズムに、九州柳川の日が照って、桐の花がちりかかっていたように、その頃の、きれいな本をつくりたい心、そういうきれいな本をもってみたい心は、日本の出版企業の、かつて初々しかった昔の物語である。そして、それはまだ文化の問題に入っていたのである。