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「細雪」谷崎潤一郎

細雪

器量好みなどと云うことは、得てそう云う堅人によくあるものだが、その人も巴里を見て来た反動でか、奥さんは純日本式の美人に限る、洋服なんか似合わなくてもよい、しとやかで、大人しくて、姿がよくて、和服の着こなしが上手で、顔立も勿論だけれども、第一に手足のきれいな人がほしいと云う注文なので、お宅のお嬢様なら打ってつけだと思うのであるが、―――と云うような話なのであった。

谷崎潤一郎「細雪」の一節です。

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  • なぞり書きシートはB5サイズの紙に最適化されています。
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理想のタイプ……いろいろありますね。

好みは人それぞれで、だからこそいいのでしょうけれど、最近では(というか、タレントさんが当たり障りなく答える時のありがち回答では)

笑顔がかわいい人
一緒にいて楽しい人
優しい人

なんていうのをよく見かけます。

これらの言葉の裏側には「綺麗な人」なんてのも隠れていたりするのでしょうが、今の時代に「美人が好き」とはっきり言うのは、それはそれで勇気がいりそうです。

さて、この「細雪」

奥さんは「しとやかで」との言葉があるのですが、そういえば最近では「おしとやかな女の子」というような言葉をとんと聞かなくなりました。

理想はおしとやかな大和撫子タイプ、なんてもはや死語でしょうか。

なんでもかんでも男女同権の時代ですから、おしとやかであることよりも、行動力のある頼もしい女性が好かれるようになったのか。

はたまた男性の危機察知能力が反応して「おしとやかな女性」という言葉を華麗に避けて通るようになったのか。

何のことはない言葉ですが、ちょっと気になる言葉でありました。

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